違いは休む期間だけでなく、使い方にもある

介護休業と介護休暇の違いを説明するときは、休める日数に加え、どのような予定に使いたいのかを確認すると整理しやすくなります。介護休業はまとまった期間の休業、介護休暇は通院の付き添いや手続きなど日常の対応に使う休暇です。

どちらも、家族の介護を理由に仕事から離れる制度ですが、申出や給付の扱いは同じではありません。「介護のための休み」という一つの勤怠項目だけで管理している場合は、本人への説明と給与処理にずれがないか見直しましょう。

本記事では法定制度の基本を比較し、本人への質問から選択肢を示す方法を提案します。会社独自の有給休暇や上乗せ制度がある場合は、法定制度と区別して案内してください。本人が有利な選択肢を比較できるよう、制度名だけでなく賃金の扱いも説明することが大切です。

日数・単位・手続きの基本を比較する

介護休業は対象家族一人ごとに通算93日まで、3回に分けて取得できます。介護休暇は対象家族が一人なら年5日、二人以上なら年10日が法定の日数で、原則として日または時間の単位で取得します。日数の数え方の土台が異なるため、同じ残日数欄で扱わないようにします。介護休暇の年10日は、家族一人ごとの10日ではなく対象家族全体での上限です。会社が別に定めていなければ、1年間は4月1日から翌年3月31日です。

休業は原則として開始予定日の2週間前までの申出が必要です。休暇は口頭での申出も可能で、休業と同じ2週間前の手続きを求める制度ではありません。時間単位の休暇が困難な業務について労使協定で除外している場合など、詳細は自社規程と現行の要件を確認します。

また、介護休暇は年次有給休暇とは別の制度です。本人が年次有給休暇を使う選択肢を示す場合も、介護休暇の説明を省略したり、年次有給休暇を使い切ることが利用条件であるかのように説明したりしないようにします。休暇の残日数を表示する画面も、制度ごとに区別されているか確認してください。

介護休業 対象家族一人につき通算93日、3回まで。まとまった休業を計画する
介護休暇 対象家族一人なら年5日、二人以上なら年10日。原則として日・時間単位
給付の違い 介護休業給付は要件を満たす介護休業に対する制度。介護休暇と混同しない
賃金の確認 休暇・休業中の給与支払は自社の規程を確認し、給付とは別に説明する

相談では必要な時間を先に聞く

従業員に最初から制度名を選んでもらうのではなく、対応する予定と必要な時間を聞きます。「病院への付き添いで午後だけ不在になる」「退院後の生活を整えるため一定期間休む」「毎日の終業時刻を早めたい」では、検討する制度が変わります。

例えば、毎週同じ時刻の送迎が必要なら、介護休暇の残日数だけでやりくりする前に、時差出勤や短時間勤務等の制度を確認します。退院時の調整でまとまった休業が必要なら、介護休業の利用と復帰後の働き方を一緒に検討します。これらは使い分けを説明する架空の例であり、個別の取得可否を決めるものではありません。

聞き取りでは、確定している予定と未定の予定を分けます。介護に直面したばかりの人に、数か月先までの計画を完成させてから相談するよう求めず、分かる範囲から制度を案内しましょう。

対象者は同じ一覧を使い回さず制度ごとに確認する

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。子は養子を含む法律上の親子関係がある子を指します。対象は高齢の親に限られず、障害のある家族なども含まれます。

両制度でいう要介護状態は、負傷・疾病・身体または精神の障害により、2週間以上にわたって常時介護が必要な状態です。介護保険の認定の有無だけで対象外と判断しません。乳幼児の通常の成育に伴う日常の世話は、この要介護状態には含まれません。

両制度とも日々雇用される人は対象外です。介護休暇では、週の所定労働日数が2日以下の人を労使協定で除外できますが、勤続6か月未満の人を除外する仕組みは2025年4月に廃止されました。時間単位の取得が困難な業務を労使協定で除外している場合も、日単位の取得まで除外されるわけではありません。

介護休業では、有期雇用の人は、休業開始予定日から93日を経過した日からさらに6か月を経過する日までに契約が満了し、更新されないことが明らかでないことが必要です。また、労使協定があれば、勤続1年未満、申出から93日以内の雇用終了が明らかな人、週の所定労働日数が2日以下の人を除外できます。社内規程と協定の有無を制度ごとに確かめ、判断に迷う場合は人事の制度担当や労働局に確認してください。

収入の説明は給与と給付を分ける

「休めます」という説明だけでは、従業員は生活費の見通しを立てられません。介護休暇の有給・無給は会社の定めによります。介護休業についても社内の給与規程を確認し、雇用保険の介護休業給付を受けられるかどうかは別に確認します。

説明文の例は「当社の介護休暇中の賃金は規程に基づきこのように扱います。介護休業を選ぶ場合には、別途、介護休業給付の受給要件と手続きを確認します」です。確認前に「休めば給与の一定割合が必ず入ります」と約束しないようにしましょう。

本人へ渡す比較表には、給与の扱い、会社への申出先、給付の確認担当を同じ列に載せます。申請書が似ていても、休暇の取得が介護休業給付の申請を兼ねるわけではないことを明記すると、思い違いを減らせます。

決まった制度と、次の相談時期を共有する

制度の選択後は、人事が勤怠担当へ正しい区分を伝え、上司は不在時間中の仕事を調整します。本人が制度の説明を受け、所定の手続きを行ったことと、職場が代替担当を決めたことを、それぞれ確認しましょう。

休みの予定が繰り返し増える場合は、残日数がなくなってから困る前に働き方を再検討します。介護休業から復帰する場合も、休業が終わったことと介護の負担がなくなったことは同じではありません。休暇や勤務時間の制度へつなげる確認が役立ちます。

まず自社の制度を二つの列に分け、法定の日数と会社独自の上乗せ、賃金の扱い、申出方法を整理してみてください。その比較表を使い、本人の予定を聞きながら選択肢を説明することで、制度名の混同から生じる手戻りを防げます。

出典・参考資料