休業できることと、給付を受けられることを分ける
介護休業給付の申請を案内するときは、介護休業の取得条件と、雇用保険の給付要件を別々に確認します。会社が休業を認めたことだけで受給が確定するわけではありません。給付を給与の支払と同じものとして説明しないことも重要です。
本人が気にするのは、休業中の収入と、いつ手続きが進むかという点です。人事は受給要件の確認担当、会社で用意する資料、本人に依頼する資料を明確にして、確定している情報と確認中の情報を分けて伝えましょう。
本記事は2026年10月に確認した厚生労働省とハローワークの資料に基づく基本案内です。個別の支給可否や支給額はハローワークの確認・決定によります。毎年改定される上限額の固定掲載ではなく、申請時点の公式案内を確認する手順に重点を置きます。
最初に雇用保険の履歴と休業の内容を確認する
受給には、原則として休業開始前2年間に算定上の被保険者期間が12か月以上あることなどの要件があります。暦の上で1年間在籍したかだけで判断せず、賃金支払基礎日数や時間数に基づく算定を確認します。疾病などによる特例や、有期雇用の場合の追加要件もあるため、不明な場合は管轄のハローワークへ照会します。
また、対象家族との続柄、要介護状態、本人が申し出た休業期間を確認します。介護休業給付は同じ対象家族について93日を限度に3回までという枠があります。過去の取得・受給履歴がある場合は、今回だけの書類で判断しないようにしましょう。
確認が終わっていない段階では「受給できます」と言い切らず、「会社で雇用保険と休業の資料を整理し、要件を確認します」と伝えます。本人が退職を検討しているなど事情が変わった場合も、給付の取扱いを改めて確認してください。
被保険者期間は、原則として賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月で数えます。それで12か月に満たない場合には、賃金支払基礎時間数が80時間以上ある完全月も確認します。単に「勤続1年」と案内しないでください。また、休業当初から退職を予定している場合は、職場復帰を前提とする給付の対象にはなりません。
必要資料を集める担当を分ける
申請は原則として会社を経由して行い、本人が希望する場合は本人による申請も可能です。いずれの場合も会社の賃金・勤怠の資料が関わるため、本人が申請すると聞いて人事の作業を止めないようにします。
必要な書類は申請書、休業開始時賃金月額証明書、休業申出書、対象家族との関係を確認する書類、賃金や出勤の記録などです。以下は準備を分担するための編集部の整理例であり、個別申請の添付書類を網羅する一覧ではありません。省略できる書類や追加資料の要否は最新の案内で確認してください。
資料の依頼時には、提出先と安全な受渡し方法も指定します。家族の公的証明や振込口座の情報を、関係者全員が閲覧する共有フォルダへ置く運用は避けましょう。必要書類を集める担当と、勤務調整をする上司の閲覧範囲を分けることで、手続きに不要な情報の拡散を防ぎやすくなります。
| 人事 | 休業申出書と開始・終了日の整理、申請担当と提出予定日の設定 |
|---|---|
| 給与・勤怠担当 | 休業前と支給対象期間の賃金台帳、出勤記録、証明書の照合 |
| 本人 | 対象家族との関係などを確認できる必要資料、申請内容の確認 |
| 提出担当 | 最新様式・添付資料・提出先を確認し、受付状況と補正依頼を管理 |
支給額は単純な手取り給与の67%ではない
給付額の基本的な計算は、休業開始時賃金日額に支給日数と67%を掛ける形です。本人が普段受け取る手取り給与をそのまま基準にする説明は避けてください。算定に使う賃金や支給日数にはルールがあり、上限もあります。
休業期間を対象とする賃金の支払や、支給単位期間内の就労によって、減額や不支給となる場合があります。人事だけで金額を概算して終えるのではなく、給与担当と勤務記録を照合してください。休業中に短い業務対応が発生した場合も、記録から落とさないことが必要です。
説明文の例は「給付は雇用保険の基準で計算され、会社の給与とは別に支給されます。給与支払や就労の状況も確認したうえで申請するため、現時点の見込みは確定額ではありません」です。生活費の相談に必要な情報として、会社からの給与支払の有無も別の欄で伝えましょう。
休業終了日を基準に提出期限を管理する
通常の提出期限は、各休業の終了日の翌日から起算して2か月を経過する日が属する月の末日までです。休業が3か月を経過するときは、休業開始日から3か月を経過した日の翌日を基準に、同じ提出期限の計算をします。93日を単純に3か月と置き換えず、公式の手続案内で日付を確認してください。休業が分割されているときは、それぞれの休業に対応する期限を管理してください。
社内では法定の提出期限ぎりぎりを資料回収日とせず、給与の確定や不備の修正に必要な時間を見込んだ予定を設定することを勧めます。本人に依頼する期限、社内確認日、提出予定日を分けて記録すると、どの段階で止まっているか分かります。
休業終了予定日が変更された場合は、勤怠だけでなく申請カレンダーも更新します。既に期限を過ぎた案件を見つけたときは、社内判断で受給不能と断定せず、速やかにハローワークへ取扱いを確認してください。
提出後も受付・補正・決定を本人へ知らせる
申請書を提出した後は、受付状況、追加資料の依頼、支給決定の通知を追えるようにします。提出したことと支給が決定したことは別なので、本人に「手続き済み」とだけ伝えると入金も確定したように受け取られるおそれがあります。
連絡の例は「本日、申請を提出しました。追加資料の連絡があった場合は人事からお知らせします。支給可否と金額は決定通知で確認します」です。入金日は審査状況によるため、根拠のない日付を約束しないようにしましょう。
手続き完了後には、取得履歴、給付の申請履歴、会社の賃金処理が一致しているかを確認します。次の分割取得時に同じ確認を最初からやり直さずに済むよう、必要な情報の保管先と閲覧権限も整理してください。まず給与担当と一緒に、一件分の申請手順を確認するところから始めると実務に落とし込めます。
出典・参考資料
- 厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」 ↗確認日:2026年10月9日
- ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」介護休業給付の項 ↗確認日:2026年10月9日
- ハローワーク品川「介護休業給付申請の概要・手続きの流れ」 ↗確認日:2026年10月9日




